最終章 名探偵の条件

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志津里はまるで醍醐を昔から見てきたかの様に話す。醍醐の消し去った過去は志津里に銃弾と共に掘り返された。 「面白い推理だ、その通りなら動機は完璧だな。」 「ええ、自信あります。そして現場にはあなたと同じ銘柄の煙草が落ちていた事から、現場にあなたがいた可能性はグッと増していきます。」 「ただ、それは可能性の話だ。あの夜、私はあそこに行ける訳が無いんだ。わかっているね?何しろ仕事中だったから。」 「…それに関しては実に巧い手を使いましたね。あなたはレストランでの彼女の監視を止めても彼女の動きを知る事が出来たんです。いやぁ実に見事でした。」 「私はどうやった?教えてくれ。」 醍醐は自らの砦を少しずつ志津里が崩していくのがわかった。しかし、醍醐自身がその危機を感じるまでには距離があった。 「私は最初、あなたは誰か別の人間に彼女の行動を事細かに教えてもらったんだと思ったんですが、もともとこの計画はあなたの最も嫌な過去を消す物だ。共犯を作る訳がない。しかし、たった一人では彼女の行動は知る事が出来ない。そこであなたは「共犯者」ではなく「協力者」を作る事で成立させたんです。」
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