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「それは誰だ?」
醍醐は落ち着いた口調を崩さなかった。どこまで核心を突いてきても絶対に慌てずにいる事が大切だった。
「尾行されていた浅香まりさ本人です。彼女はある時、ある男から声を掛けられて探偵に調査されている事を告げられます。そして男は彼女に、明日の夜は私が指示する通りに行動して欲しい、私は探偵の動きを調査したいからだ。そう言った具合に彼女に持ち掛けた。だから彼女はあの夜、あなたの指示通りに動いていたというだけ、彼女の行動が全て把握出来ている訳ですよ。」
志津里が堂々と言い切る。どうだ、という様にしっかりと醍醐を見て。
「ちょっと待ちなさい。それを持ち掛けた男がどうして私だと言い切れる。そいつは本当に私の行動パターンを知りたかっただけかもしれないじゃないか。それとも彼女が私に頼まれたと言ったのか?」
まりさが喋ったからここまで志津里はたどり着いたのだろう。醍醐は人選ミスを少し悔やんだ。
「いえ、彼女は男の特徴を、短い金髪に丸い眼鏡をした長身だったと言いました。」
「私とは違うな。」
「ただ、長身は合ってます。あなた、最初見た時から思ってましたけど、すごく背が高いですからね。」
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