最終章 名探偵の条件

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「ああ、見えているとも。」 男二人の乗った車はいつもに比べなんだか窮屈ではあったがそんなもの何の障害でもなかった。 「じゃあ彼女達は何を食べているか順に言ってもらえます?」 志津里の言葉からテーブルに注意を払った。 パスタがある、片方は恐らくカルボナーラ、片方はミートスパゲティだ。真ん中の皿にはピザ、そして二人の手元にはコーヒーカップ、片方がすすった…見えない訳がない。 「まず、パスタがある。浅香の方はカルボナーラ、君の部下はミートスパゲティを食べてる。そしてテーブルの真ん中にはピザがある。」 「じゃあ他は?他は何があります?」 「他は二人はコーヒーを飲んでる。テーブルにはそれだけだ。後は水がおいてある。」 醍醐がそう言っても、志津里は応答しない。 「これでいいだろ?これで何が証明出来た?ここからもばっちり店の様子はわかるんだよ。」 「十分です。ありがとうございました。」 志津里はそう言って、携帯電話で誰かにかけ始めた。 「もしもし…どうもありがとう。もういいよ。」 どういう事だ…醍醐は変な気分に襲われた。
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