最終章 名探偵の条件

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煙を吐きながら醍醐は遠くを見て言った。 「ただ…私も少し名探偵らしさは残ってるかもな。」 醍醐はそう言って車から大きい茶封筒を取り出して志津里に渡した。 「これ何ですか?」 「見てみろよ。」 封筒を開けると志津里は「おおっ」と声を出した。 「あのコロッケの…」 「インターネットだけじゃなくてちゃんと調べたからな。」 「ありがとうございます…コロッケって元々フランス語なんですね!クロケットだからクロケッツ!」 志津里の口調はまるで少年の様だった。 「じゃあ帰ってちゃんと読ませてもらいます。この報酬ですけど、現物支給って事でロゾリノで食事ごちそうしますよ。」 「いやぁいい、今はイタリアンの気分じゃない。」 「じゃあどっか他に食事に行きましょうか?」 「いや…コロッケでいいよ。」 醍醐が笑って言うと、志津里もハハッと笑った。 「美味しいコロッケ知ってるんですよ。娘が教えてくれたんですけど、9時までだから今から行きましょうか。」 「ああ、ごちそうしてくれ。」 志津里に応えた醍醐はまた笑った。 醍醐のその笑顔は、もう過去に囚われんとばかりに解放されていた。
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