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5
男の後をついていくと、まりさはコーヒーショップにたどり着いた。
まりさはホッと胸を撫で下ろし、男が言うままに奥の席に着いた。
「尾行…ですか?」
まりさは男の話を飲み込めずに聞き返した。
「ああ、君は尾行されてる。」
「でもどうして、誰にです?」
「探偵だ。君の恋人の長澤隆という男に依頼されている。浮気調査を。」
男は煙草をふかした。
まりさは訳が分からなかった。彼がどうしてそんな事を…
「そんな、どうして?あなたはその探偵ですか?」
「いや、私はその探偵事務所にちょっとした恨みがある。ちょっと試してみたいんだ。そこで君の協力がいる。」
「どんな事しなきゃいけないんですか?大変な事は出来ないですよ。」
慌ててまりさは言う。
「簡単な事だから大丈夫。これを渡すから明日、君は指示通りに動いてくれればいい。」
そういうと男はジャケットから小さなトランシーバーを取り出した。
「これは?」
「これは小型のトランシーバーだ。これをポケットに入れてイヤホンを耳に当てるんだ。イヤホンは髪でうまく隠すんだ。イヤホンのコードの真ん中辺りの膨らみはマイクになってるから何かあったら話してくれ。」
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