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まりさは急な展開についていけなかった。
「で、でも私に何をさせる気ですか?」
「明日、君は7時過ぎから出掛けてくれ。そしてここのレストランで食事をする。」
男はレストランの事が書かれたメモをテーブルに置いた。
「とりあえず大きな流れはそんな感じだ。分からなければ出掛ける頃にまたトランシーバーで話してくれ。これは広範囲での交信が可能だ。君も恋人に疑われたんだ、憂さ晴らしになるだろ?ただ、長澤隆にはこの事実は話してはいけない。」
「わ、わかりました。でも…」
「もちろん報酬は用意する。この日指示通りにこなせば、これだけ払うよ。」
男は人差し指を突き立てた。
「いくらですか?まさか、10万円?」
「いや、違うよ。」
「えっ、じゃあ…100万円!」
まりさは驚きのあまり大声を上げた。
「声が大きいよ。」
「すみません。でもいいんですか?」
「もちろん。ただ、指示通りに動いてくれよ。」
「わかりました!がんばります。」
「じゃあ、もう帰っていい。また明日、頼んだぞ。」
「はい。失礼します。」
まりさはテンションが上がり、元気よく挨拶をした。
やっぱり東京は不思議な所だ。しかし、100万円はうれしい。今はアルバイトしながらの貧乏生活だが、ものすごく救われる。よくわからないが、頑張ろう。
まりさはそう心に決めた。
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