第2章 1、≪想い≫

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   東京都。臨海副都心の一角に、智子の住むシティライフの賃貸マンションはある──  そんな賃貸マンションの建ち並ぶ臨海副都心から、やや離れた江東区内のとある民営託児所の前・・・・  停車している1台の軽ワンボックスカー。  ハザードランプを点滅させ、エンジンをかけたままの状態である──  託児所から出て来る智子。  5歳前後の幼児を抱きかかえ、見送られた職員に何度も頭を下げ、停車しているワンボックスカーへとやって来る──  智子はブランドメーカーのロゴ入りのセーターに、デニムのローカット・ジーンズ、ローヒールのブーツといった出で立ちで纏めている。  助手席のシートを倒し、眠入ってしまった娘を寝かせ、後部座席に置いたコートで娘の躰を覆った。  「ごめんねェ・・・・」  車を発進させ、予約していたクリスマス・ケーキを受け取る店へと走らせた。KFCで注文したチキンバスケットを購入し、家路へと向かう智子──  巷に流れるジングルベルとクリスマスのイルミネーション──            
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