Act.1

5/11
前へ
/31ページ
次へ
健斗と知り合ったのは大学一年生の時。 たまたま美加と食堂に行き、自分のカレーを運んでいた健斗とぶつかってしまった。 美加の持っていた水の入ったグラスが健斗のカレーを直撃。 必死に謝る美加を責め立てるようなら、あたしも黙っちゃいなかったけど、そんな事健斗はしなくて、じぃっと美加を見て頬を赤らめていた。 一目でわかった。 これが人が恋に落ちた瞬間なんだと。 健斗が言った台詞は笑えた。 「俺、カレーは水っぽい方が好きなんだよね!!」 不味いに決まってるカレーを完食した健斗を見てあたしは悪い奴じゃないと感じた。 まさか、これが恋心になるなんて思っても見なかったけれど。 「結希ちゃん…私ね…」 美加に、健斗が好きかもと告げられ、笑って知ってたよと答えたらすごく驚いていた。 ほどなくして、 健斗が美加に告白した。 同時にあたしの恋は散ったけど、相手が美加なら本気で応援したいと思った。 二人が笑ってるなら、 あたしはそれでいい。 幸せでいてくれるなら、 あたしはそれで十分だから。
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加