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「行ってきます。」
きっと、もう戻らない家に挨拶。蜘蛛の巣が張らなければいいな。特に僕の部屋のおもちゃには。
「お出掛けかぃ?」
「あ、おじさん。旅に出るんだよ旅。」
「夕方までには帰れよ坊主」
朝日のように眩しい頭も、少しだけ名残惜しいような気が……しない。うん、しない。
柿の木を折って叱られたり、ハゲ頭をからかって拳骨くらったり。あれ、なんかむかつく。
だからもう戻らない。
大魔王になるまで、違う。
僕が大人になるまで。
村を出てすぐに広がる草原の道が太陽の光で輝いて見えた。
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