ぎこちない

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「……あ。」 そう言えばここは分かれ道だ。 「ユキ、どっちに行く?」 「どちらでも……。」 「じゃあ右だ。」 この時から思っていた。 薄暗い森が、僕らを嘲笑うかのようにざわめく。 「ユキ、お前は何が使える?」 「……はい?」 「魔法とか剣術とか、そう言うのだ」 「何も……」 いつ勇者に会うか分からないのに、全くの戦力外。聞こえないようにため息をつく。 「街にいったら武器買え。いや、回復か……戦うのは嫌か?」 「どちらでも、別に。」 別に、とかどちらでも、とか、こいつはそう言う言葉が多すぎる。
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