19人が本棚に入れています
本棚に追加
「……あ。」
そう言えばここは分かれ道だ。
「ユキ、どっちに行く?」
「どちらでも……。」
「じゃあ右だ。」
この時から思っていた。
薄暗い森が、僕らを嘲笑うかのようにざわめく。
「ユキ、お前は何が使える?」
「……はい?」
「魔法とか剣術とか、そう言うのだ」
「何も……」
いつ勇者に会うか分からないのに、全くの戦力外。聞こえないようにため息をつく。
「街にいったら武器買え。いや、回復か……戦うのは嫌か?」
「どちらでも、別に。」
別に、とかどちらでも、とか、こいつはそう言う言葉が多すぎる。
最初のコメントを投稿しよう!