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『達磨さんが転んだ。』
その一言で目の前の時間が停まる。
僕はこの瞬間が好きだ。
いつだって、動いてる物には興味を引かれない。
理由は簡単。
動くと流れるから。
世の中なんて、そんなくだらない真理から逃れられずに動いてるから。
でもこれは停まるのがルール。
達磨さんが転んだ。
の一言が全てを止める。全てを縛り支配する。
鬼の僕が前に進めば…僕は時間を停め続けられるんじゃないか?
ふいに、そんな事を思った。
『達磨さんが転んだ。』を唱えながら、僕も真っ直ぐ前に進む。
そして後ろを振り向く。
友達の笑顔を見た。
その瞬間。ゴムの焦げる匂いと衝撃が走った。
僕の時間はそこで停まった。
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