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《……おい。俺のこと ずっと呼んでたのは お前か?》
《―――え?俺…誰も呼んでねェけど、あんた誰?》
《嘘だね、俺にはずっと聞こえてたぜ。うるせーんだよ、いい加減にしろ…だから
連れてってやるよ…仕方ね――から》
天地乱る混沌の時代―――
人と妖怪が共存を果たす
平和の地が在った
そこはまさに 文明と信仰の源
“桃源郷”と
呼びなわされていた………
「おい三蔵。まだ着かねーの?腹減って動けねーよーっ!!」
木々の鬱蒼と生い茂る森の中一人の少年の声が響く
切り株に座り込む茶髪の少年の額には金鈷がはまっていた
「なーってばぁ いてっ」
パンッ
「やかましいわっ!!」
三蔵と呼ばれた金髪の法師が少年の頭をハリセンで叩く
少年の瞳は凶事の象徴とされる金晴眼だった
「ったく、普段は殺しても死なねークセに」
「俺、充電式なんだもん」
「イバんなッ」
「やっぱ八戒のジープで迎えに来てもらえば良かったじゃんかよ――!!」
「うるせーなッ、もう少しで着くだろ。歩けバカ猿!!」
静かな森の中に二人の声が響き渡る
「大体なんで急に悟浄と八戒に会いに来たんだよ?」
「……確かめたいことがあるんだ…」
思い出すように空を見上げる三蔵
脳裏に浮かぶのは五日前の斜陽殿のこと―…
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