001 マユ

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*** 世の中は不思議なもので、必要なきっかけは心配しなくても自然と生まれるのだ。 梅雨の合間、久しぶりに晴れた日。 学校帰りに寄ったコンビニで私は偶然チィと出会った。 私がコンビニに入った瞬間。 「あ…」 先に声を出したのは彼女で、すでに支払いを済ませた商品を手に持ち私をみつめる。 私はいきなりの展開にどう対応すればいいのかわからず、目を見開いて固まってしまった。 すると彼女は躊躇なく私に近づいてきた。 そして彼女は口を開く。 「…久しぶりだね」 「え…あっ久し、ぶり…」 やっとの事でしぼり出した言葉は、上擦った声だった。 チィは困ったように笑い、私は彼女を直視できなくて思わず目を伏せてしまった。
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