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優斗は宝石ぐらい綺麗な色の青々とした海が望める丘に来ていた。
ただ彼の目的は海をみる事ではない。小さな墓石がある。この下に眠るのは彼が愛した妻の墓だ。
「彩…俺は君以外愛せそうにない」
彩は小さい時から体が弱く、控え目。だが自分より相手を思いやる心の優しい人物。優斗は次第に惹かれた。そして結婚をして誰もが祝福をした。
だが、幸福な時間は限られているのだ。病気の進行が早く手術は出来るのだが腫瘍の場所が悪く成功しても余命は2年半だろうと宣告された。そして三年前の病室
「優斗…」
「どうした?」
「私貴方の良き妻でいれたのかな?」
「どうしてそう思う?」
「小さい時から体が弱くて、加穂や優斗…みんなに迷惑をかけて…」
「そんな事はないよ…三沢も良い親友だって言ってたし」
今までは一度も『迷惑か』とは聞いた事が無かった。嫌な予感がする…。優斗が感じていると同時に雨も酷くなった。
「そう…だったら良かった…」
「彩…?」
「お医者さんに余命は2年半って言われていたのに半年も長く生きた…優斗…あなたは私が死んでも私を引きずるのは駄目よ天国からお説教するから。大好きだよ…優斗…」
と言って、彩はこの世を逝った。涙を流しながら微笑む彼女が忘れられない。
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