てのひらの夢

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子供の頃、星空をみあげて、その手に掴めるんじゃないかと手を伸ばした。 小さな星もまんまるの月も、手の平にすっぽりはいる気がして。 そんなわけないのに、オレンジ色に染まった細い細い三日月まで飛んでいける気がして。 でもあのころ手を伸ばした夜空は、もっときらきら煌めいてたな。 空が曇ったのか目が曇ったのか心が曇ったのか。 子供の頃、青空も白い雲も、もっと近かった。 なんであんなに輝いてたのかな。 なんであの頃の思い出は眩しいのかな。 まだ夢を抱えてたね。 形もない朧げな、未確定の未来を、手の平に握りしめてたね。 懐かしいね。 ただ懐かしいね。 (まだ、握りしめてるのかな。本当は)
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