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―ガチャッ
隣の部屋のドアが開く。
ゴミ袋を持った隣人が擦れ違い様、マリコの持つ袋を横目で認め、キャアッと叫んだ。
(部屋に持ってって開ければ良かったな)
隣人は大家へ、大家は警察へと連絡したらしい。
高校から帰宅すると、ドアの前に大家と住人数名が屯して居た。
部屋の中央に母親と警官2人が座って居る。
母親は青ざめながら、
「お帰り、マリコ。こっち。」
と、手招きした。
警官達は母親にもしたであろう質問をマリコにも繰り返した。
ゴミの日の朝、ドアノブに掛けられて居るビニール袋の話。
毎回、違う中身と数字が書かれた紙の話。
今朝の子犬は見付けた時、まだ温かかった話。
淡々と説明した。
『犬の生首なんて気持ち悪いだろう、何故すぐに通報しなかったんだい?』
年配の警官が優しくマリコに問い掛けた。
「あー、別に怖くなかったし。最近、頭ヤバイ人多いから、こう言う趣味の奴も居んだー位?てか友達にメールしたら爆笑されたし!それヤベーよって。」
呆れる警官達を余所にマリコは、制服からスウェットに着替え始めた。
慌てた母親に窘められる。
「マリコ!後で着替えなさい!警察の方の前で貴女って子は!言葉遣いも普通にして!スミマセンね、教育が行き届いて無くて、お恥ずかしい…」
後半は警官達へ向けられて居たが。
若い警官は呆れたままだったが、年配の方は流石年の功で、すぐに平生に戻り、
『お嬢さんの言う通り、昨今はまぁ、物騒ですから。ストーカーや通り魔なんかね。これからは、月曜の夜から火曜の朝まで見回ります。少しでも不審を感じたらすぐに御連絡下さい。では失礼します。』
母親が頭を下げる中、マリコの着替えは終わって居た。
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