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予想外の事に店員も一瞬、たじろいだが、
「この子達のお知り合いですか?」
と、すぐに落ち着き、マリコ達との関係性を質した。
『えぇ、まあ。此処では人目もありますし、私も一緒に事務所へ伺っても?』
女性は優しく微笑みながら了承を得て来た。
その慈愛すら感じられる笑顔を見ていると、まるで自分が悪いかの様に錯覚してしまう。
釈然としない顔をしながらも店員は「どうぞ…」と、3人を事務所へ案内した。
―ガチャリッ
事務所には電話番風情の女性が1人居たが、こちらを見るとすぐに出て行った。
「取り敢えず座って」
言うが早いか店員は、ボスリとソファーに腰を沈めた。
「「………」」
『失礼します』
3人も続いて腰を沈めた。
「まず出して、全部。」
店員に促され、「チッ」と舌打ちしながら親友は、バッグから戦利品となる筈だった物を出した。
アイライナーだけかと思っていたマリコも、意外そうに親友の手を見ていた。
「化粧品が2つに、シュシュが2つに、コンドームが2つ…ガムも?」
同じ商品が全て2つずつ。
(あー、いつもの癖だ。いつも私の分までパクッてくれるんだよね…)
今までなら馬鹿騒ぎをして共に喜んでいたであろう、親友なりの優しさも、今のマリコには少し、哀しかった。
「君ねぇ、初めてじゃないね。この数。言い逃れ出来ないよ、ん?」
呆れた様に、小馬鹿にした様に話す店員に腹が立った。
ふと名札に目をやると[店長]と書かれていた。
(何が店長だよ糞メタボ!偉っそーに!死ね豚!!!!!)
いつもなら声に出して罵る所だが、今回は完全にこちら側が悪いのだ。
事を荒立てるのは得策では無いと、心の中で毒づいていた。
「同じ商品を2つずつって事は、そっちの子の分?やっぱり共犯だな。」
「私1人でやったっつったろーがよ!!!この子マジ関係ねーし、レシートあるっしょマリ?金払ったって証明しなよ!関係ないんだから!」
それをする事は裏切りの様に感じられ、手を動かす事は出来なかった。
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