1)信じる指。

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いつの間にか、トシオ君は私を見つめていた。 無言のまま、ニタニタと笑いながら見つめていた。 気持ち悪い。 純粋な嫌悪感に襲われた。 私は虫が大の苦手だ。 例えば、蛾。 あの丸々と膨らんだ腹、吐き気がする。 例えば、蟻。 あのゾロゾロと蠢く粒、吐き気がする。 私が今、トシオ君に感じているのはそれらと同じだ。 蛾の腹を大量に口に押し込められている気分。 トシオ君のパジャマの染みが、潰れた虫の体液を連想させ、不快感が増した。 動かない私にトシオ君はクレヨンを向けた。 「何…してるの」 声を出すのが精一杯だった。
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