力の目覚め…

1/60
39人が本棚に入れています
本棚に追加
/68ページ

力の目覚め…

――日本 大地は割れ、天変地異が起きたかのように荒れ果てている。 空は鼠色に染まり、大地を穿つ電光が幾重にも伸びていた。 そう、まるで歴史の教科書で見たことのあるような荒んだ光景だった。 ここにかつての日本の面影などあるのだろうか? 「まだ足掻くか。 いい加減諦めたらどうだ? ゼルよ」 富士山頂にたたずむ、黒装束の男が言った。 「諦めたらここで終わってしまうだろうイルよ、オレは未来の希望にかける! これで最後だ! エフェクト・ライトニング!」 黒装束の男と向き合っている銀髪の男。 その身はボロボロだが、男の両眼は生気に満ち溢れていた。 男の手を纏う光が日本刀を形作った。 まごうことなき優しく暖かい光。 「まだそのような力が残っていたか、貴様もあの男のように私の力で消え去るがいい! エフェクト・ダークネス!」 黒装束の男の両腕に漆黒の闇が渦巻く。 闇は一寸の光も許さず、歯向かうものを全て飲み込もうとしている。 銀髪の男に向け、それを放った。 「死ね!」 (最期の時、結局私にイルは止められなかった。せめて一太刀!) 「ハァーー!」 光と闇の激突。 この衝撃で日本最大の標高を誇る山は、跡形もなく消え去った。それから数時間後、日本が崩壊することとなる。 これが、全ての元凶 『始まりの日』
/68ページ

最初のコメントを投稿しよう!