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「ダクト?」
桐山が頭上を走る薄汚れたダクトを見上げた。
一瞬、隙が生まれたが桐山はすぐに視線をおれに戻した。
「残念だがこのダクトは中からは開かんよ」
桐山はおれに銃口を向けて睨んだまま、横歩きでダクトの吸い込み口の下に移動した。
おれは桐山を見据えたまま、ゆっくりと千田に近付く。
千田まであと三歩だ。
「おい、女ネズミ! 先は行き止まりだ。諦めて下りて来い。でないとダクトを全部撃ち抜くぞ!」
桐山が聞こえやすいように、排気ダクトに向かって声を上げた。
中田の言った事が本当なら、一葉はダクト内で立ち往生している。
まずい……。
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