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「野郎っ!」
千田が暴れるが完全に関節をキメているので、余計に腕が締まる。
「争う気はないんや。上のやつだけ連れて帰らせてもらったら邪魔はせんて」
何とか諭すように落ち着いて桐山に話す。
「桐山……千田……! 何事じゃこれは!」
シャッターのところにようやく平松さんがたどり着き、二人を一喝した。
還暦前だが、その声は力強く響き、千田の首をうなだれさせた。
しかし、目を血走らせた桐山は銃口を下ろしていない。
平松さんがゆっくりと足を引きずりながらおれと桐山の間に割って入る。
桐山はまっすぐに銃口を向けたままだ。
当然、その直線は平松さんに伸びている。
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