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「仁! 離れなさいっ!」
桐山と揉み合う白亜紀の言葉の意味がわかったのは、平松さんの杖が仕込み杖とわかった時やった。
杖から引き抜かれた刃がおれの腹に深く突き刺さっていた。
脇腹に冷たく固い金属の感触があった。
次第にそれは熱くなっていき、おれを混乱させる。
「なんでや……?」
おれにはわけがわからなかった。
平松さんがおれを中田と勘違いしたんか?
「平松組をお前になんかまかせるかよっ。これからの平松組にとって一番邪魔なのはお前なんだよ! 海原!」
全部芝居なんか?
意識が朦朧とする中、平松さんが杖なしで立ち上がるのだけが見えた。
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