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「えっ? でも平松組なんですよね?」
所長は私の手からシャツを奪うようにして取ると袖を通した。
「仁曰く、『男気』ある組長で、今の平松組の現状を嘆いているらしいわよ。だから頭ごなしに私の推測だけで言っても仁は信じない。その気持ちを踏みにじりたくないし」
「はぁ」
着替えが終わると所長は私に携帯を渡してくれた。
「救急車を呼びなさい。とにかく男が血まみれだと。それが終わったら、あそこにインプレッサを止めているから先に逃げて」
所長は早口でそう言うとまた樋を登り始め、ダクトの中に入って行った。
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