木山一葉

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左側にはプラント。右側には風化して錆びた金網。 そしてまっすぐ先に見えたのは赤茶けたブロック塀だった。 助走をつけても登れないくらいの高さの。 白石所長と過ごした先程の安心感が、私の疲労感に拍車をかけた。 行き止まりなのに進むしかできないなんて。 ん? いや、違う。 行き止まりじゃない! プラントを左に周り込むようにしてまだ通路があった! 遠くて見えていなかったんだ! 何とか希望が繋がったと思った瞬間、それは簡単に崩れ去った。 曲がり角からレインマン──目黒啓子が現れたのだ。
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