店長

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今日も朝から出勤。 今日からは俺も実際にお客様の対応をしなくてはならない。 『気楽にやれよ、お客が注文した料理間違えるなよ』 『わかってるよ』 いちいちうっせーなー お店の時だけ上から言いやがって。まぁ確かに仕事では高志の方が先輩だけど・・・ こいつに言われると何だか馬鹿にされてるみたいで腹が立つ。 こんなもん楽勝だろ。 しかし 思ってた以上にいざお客を前にすると緊張するものだ。 慣れない仕事に苦労しながらも何とか休憩時間まではミスなく出来た。 『真人、そろそろ休憩にしようぜ、店長たぶん事務所にいるから挨拶いってきたら?』 『そうすっかな、じゃあちょっくら行ってくる』 俺はそのまま店長がいる事務所にむかった。 軽く扉をノックした。 『失礼します。新しくこちらで働くことになりました、桜井真人です。よろしくお願いします』 『マー君?本当にマー君なの?』 『おばさん?』 何と店長は幼い頃に近所でお世話になってたおばさんだった。 『てことは千鶴さんって・・・』 『そうよ、幼い頃はチーちゃんとマー君でよく遊んだものね』 まさか千鶴ちゃんがチーちゃんだったなんて・・・ でもそれだったら 『でもそれだったら 名前が』 俺はとっさに聞いてしまった 『・・・離婚したの・・・』 おばさんは悲しげに答えた。 『そうだったんですか・・・』 そうか、それで今まで気づかなかったのか。 確かに最初に会ったときの千鶴さんの笑顔を見たとき、どこか懐かしく感じてはいたけど。もう随分昔のことだし。 『あの頃はほんと二人いつも仲良くしてたのにね。突然マー君が引っ越すことになって、千鶴は随分寂しそうにしてたわ』 おばさんはどこか遠くを見るような、うつろな目をしていた。
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