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おばさんは小さな声で訪ねてきた。
『恋の面接官・・・ですか』
俺も自然と小さな声で答えた。
『誰が言い出したのかわからないけど、あの子は普通の女の子よ。ただ、あんなことがあったから、男性に対して心を閉ざしてしまうの。でもあの子には普通の恋愛をして普通の結婚をして普通の幸せを感じて欲しいの』
おばさんの必死な思いが痛いほど伝わってくる。
そうか・・・
だから千鶴ちゃんは男性からの告白を全て断ってきたのか。絶対合格不可能と言われていた彼女の正体は、実は辛い過去を自ら閉ざした悲しい女の子だった・・・
『お願い、千鶴の心を開いてあげて!あんなに仲良しだったマー君なら千鶴の心を開くことが出来るかもしれない!あの子を悲しい過去から解放してあげて!』
おばさんの心からの叫びだった。
あの頃の記憶が蘇ってきた。それと同時に俺の心のなかで、彼女を好きって気持ちが確信に変わった。
俺がチーを守りたい!!
『わかりました。やれるだけのことはやってみます。』
『ありがとう。娘のことお願いします。忙しいのに時間とらせてごめんなさいね』
『いえ、失礼します』
俺はそう一言いうと事務所を後にした。
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