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彼女はすでに待っていた。
『すいません遅くなっちゃって、片付けに時間かかっちゃって』
本当は心を静めるのに必死だった。
けど、いざ彼女を目の前にするとさっきまでの静けさが嘘のように胸が高鳴りだした。
『仕事の話ですよね?何かわからないことでもあったんですか?』
『いや~、あの・・・』
僕は深呼吸を一つした。
そして彼女の顔をまっすぐみて話した。
『実は、大切な話があるんです』
『え!?』
彼女は急に不安な顔になった。
それもそうだな、また知らない男に言い寄られる恐怖を感じてるのかな。
でも俺は知らない男なんかじゃない!チーの幼なじみの真人だよ!って叫びたかった。
けど、彼女の不安な顔を見るとそれは出来なかった。
俺はチーへの溢れる気持ちを必死に抑えて、彼女を不安がらせないようにゆっくり話した。
『千鶴さんの記憶のことなんだ。店長、いや・・・お母さんから全部聞いたんだ・・・』
俺はおばさんから聞いたことを全て話した。
すると彼女は鋭い目つきで俺を睨んだ。
『あなたには関係ないじゃない!!あなたに私の何がわかるのよ!!』
彼女の声が店内に響いた。
僕は彼女から目をそらさなかった。僕も必死だった。
『関係・・・あるんだ・・・。それに、昔から知ってるんだ、チーちゃんのこと・・・』
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