ヒーロー

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顔をしかめながら、二人を見た。 棒を持った美紗の腕が千華に振り降ろされた。 千華が顔を上げた。 両手を前に突き出すと、真剣白刃取りの如く、棒を受け止めた。 美紗が目を見開いた。 予期せぬ出来事に驚いたのだろう。 美砂は握っていた棒を離した。 千華はそれを奪い取る。 そして、美紗目掛けて棒を振り降ろそうとした。 だが、美紗の攻撃のほうがほんの少しだけ早かった。 美紗の拳が千華の顔面をとらえる。 千華は棒を落とすと、草むらに尻餅をついた。 美紗が千華に飛び掛かかる。 そして、馬乗りになった。 「千華!」 稔は叫んだ。 再び立ち上がろと、足に力を入れる。 だが、立ち上がれない。
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