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顔を動かすと美紗を見た。
地面に転がったまま動かない。
気絶しているのだろうか。
稔は這って移動すると千華に近付いた。
体を少し起こすと千華を見る。
顔中、傷だらけだった。
こめかみは切れ血が出ている。
目の上は腫れ上がり痛々しい。
「大丈夫か?」
大丈夫なわけはないが、それしか言う言葉が見つからなかった。
「少し痛いけど、大丈夫」
千華は言って起き上がった。
「血が出てる」
稔はポケットをまさぐると、クシャクシャになったハンカチを取り出した。
千華は笑うと首を横に振った。
そして、自分のポケットから綺麗に折り畳んだハンカチを取り出し、それを顔にあてた。
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