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そういえば、あの時も雪が降っていた。
見上げた夜空に舞う“白”を視野に捉えながら、私は思う。それはゆっくりとした速度で地上に幾度となく舞い降りていた。
何故、あのような行動をとったのか。今になって自分の行動に疑問を感じていた。
だからここに来たのだ。
ここは、ショッピングモールの中央に位置する、唯一空を眺められる、ぽっかりと空いた空間。
そのさらに中央には、雪で白く飾られたクリスマスツリーが、天に向って高くそびえていた。その大きさは、下に立つと頂上に飾られているであろう星が全く見えない程。
周囲は陽気なクリスマスソングに交じって、人々の嬉々とした声で満ちている。
そう。今日はクリスマス。
誰かと一緒に幸せを感じ合う、大切な日。
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