2.wrong

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そりゃあそうか。なんたってまだ昼過ぎなのだから。 辺りはまだ明るく、クリスマスの雰囲気も、店を飾る装飾からほのかに香るだけだった。 ケータイを取り出す。ディスプレイは待ち合わせより30分早い時刻を表示していた。どうやら気持ちが少しばかり先走ってしまったみたいだ。 不意に目に入ったケータイのキーホルダー。そこにはフェルト生地でできているクリスマスツリーがくっついていた。これは結香が初めてくれたお揃いのプレゼントだ。 高校2年生に進級して同じクラスになった時、結香をはじめて意識した。 少し癖のある髪を肩まで降ろし、いつもカーディガンの袖を余らしていて、なんだかふわふわした印象を抱いた。 その印象はそのまま性格に当てはまるが、彼女の言動からは上品さが感じ取れた。 話してみると愛読している小説家が同じことが幸いして、予想以上に会話が弾んだ。 少し内気かと思いきやよく笑い、むしろ話しやすく感じた。 何より笑った時に見せる、えくぼがとても可愛いかったのだ。 そして3か月前、俺は結香に自分の想いを伝えた。 告白ってやばいね。ほんとに足だけじゃなく声までも震えるんだから。 夕日が差して無かったら、俺の顔はリンゴみたいだったんじゃないかと今更ながら思う。でも両想いってことを告げられたとき、ほんと嬉しかった。 もう一生結香を愛そうとまで考えちゃったよ。 だから今日はいい思い出を作りたい。 そう決意していると。 「大輝、おまたせ」 柔らかな声が耳に届いた。  
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