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「大変です。すぐに博士に知らせないと」
どうせテレビなど見ず、研究に没頭しているのだろうと思い、ミーナはマッドサイエンティストの部屋へと急いだ。
「博士、大変です。太陽が………博士?」
部屋についたミーナが見た光景は横たわるマッドサイエンティストの姿だった。
「博士?寝ているのですか?」
ミーナは横たわるマッドサイエンティストに近づき、顔を覗きこんだ。
そこには寝ているとは思えない程表情の歪んだマッドサイエンティストの顔があった。
「博士?こんな所で寝ていてはウイルス病にかかってしまいますよ?」
ミーナに死という概念はない。人口知能こそ完璧だが、その体は成長することはない。故にエネルギー不足か大破する以外での機能停止が起こらないため、マッドサイエンティストは死というものを教えなかった。
いや、確実に自分より長く生きるミーナに、わざわざ死の概念を与え、苦しませたくなかったのかもしれない。自分が親友の死に感じた辛い感情を、ミーナも感じる必要はないのではないかと。長く共にいる分、さらに強くなるその感情を。
「ぐ………ナナ……か?」
「ミーナです。博士どうしたのですか?ニュースは見ましたか?外の世界が大変なんです。太陽の接近速度が上昇して、あと二ヶ月で人類の生存レベルを超えてしまうそうなんです」
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