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サイエンティストは殆ど開かない瞼を限界まで広げ、完成した機械を見た。
その目には完成した機械ではなく、楽しげに暮らすミーナが映っていた。
(世界を………)
その時、初めてサイエンティストは倒れた。
その死に顔があまりに穏やかだったために人々は戸惑った。
そしてサイエンティストが作っていた物に興味を持った。
それは今の科学技術を大きく超えた技術。
人を一瞬で十八銀河先の星へと転移させることが可能な機械。
機械に挟まれていたメモにより使用法が判明した。
最後の科学者であったサイエンティストの死により、地球に科学者はいなくなった。故に十八銀河先の星を、科学者なしで発展させなければいけないだろう。
それでも人類は救われた。一人の科学者の手によって。
サイエンティストの家へ来た人々が、報告のために一旦首都へ帰り、さらに多くの人々と戻って来た時、サイエンティストの遺体は忽然と消えていた。
人々はサイエンティストのことを太古の世界で信じられていた神という存在だと思い、地球の中心。今では唯一人が暮らせるドーム型の首都にサイエンティストの墓を作った。
墓には遺体の代わりに、サイエンティストの家で見つけた昔の遺物、料理道具や、電池で動く時計など、今では使わなくなった物を入れた。
新天地ではむしろサイエンティストの使っていたものが役に立つのでは?という意見もあったが、多くの要望によりサイエンティストの遺物は全て墓にいれられた。
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