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そして世界中の人々が新天地へと旅立ったあと、サイエンティストの墓を開ける者………いや開ける物があった。
「ハカセ、カエッタラナニヲ、ツクリマショウカ」
それは、強制命令により、人口知能に異常をきたしたミーナだった。
ミーナは、サイエンティストの墓を開けると料理道具一式と、持てるだけの物を持ってサイエンティストの家へと向かった。
サイエンティストの家は新天地に向かう人が沢山きたため、無理やり改築され屋根もなく、玄関だった場所とキッチンだった場所、それにサイエンティストの部屋しか残っていなかった。
そしてサイエンティストの部屋にはあの機械の代わりにベッドが置かれ、サイエンティストが寝かされていた。
太陽の近づき過ぎた世界は、その熱によりドームの中ですら菌類が死滅したため、サイエンティストの遺体は腐ることなく生前の姿のまま。唯一違うところは不器用に包帯が巻かれていたり、傷用のテープが体中に貼られていたところだ。
「ハカセ、タダイマ。キノウハグラタンデシタネ。キョウハ、フライパンガアルノデ、オムライスニシマスネ」
ミーナは、フライパン片手にボロボロになったエプロンをひらつかせ、キッチンへと向かった。
「オムライスノ、ザイリョウガナイ。ドウシマショウ?サイエンハ、ソダタナイ。オミセハ、ヤッテナイ、ナゼ?ソウデス、ハカセニキイテミマショウ」
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