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そして今、サイエンティストの死後、ミーナは初めての夢を見た。
それは優しくて、暖かくて、まるでサイエンティストのいる世界のようで。
ミーナはこんな世界ならばサイエンティストがいない訳がないと思い、今の地球にはありえない見渡す限りの花畑を歩いていた。
「博士、いないのでしょうか?」
しばらく歩き、ミーナが諦めかけたその時、背後から声がした。
「私を探していたのかい?」
それはミーナがずっと聞きたかった声。
「後ろにいたんですか?早く声をかけて頂ければよかったのに。博士は意地悪です」
ミーナは振り返りながら言った。その顔はいつかのサイエンティストと同じような、泣いているのか笑っているのか分からない表情だった。
「ああ、すまなかった。それよりナナ!そんな複雑な表情が出来るようになったなんて!どんどん人間らしくなるな!?」
サイエンティストはいつものように言った。それはミーナが何より欲しかったサイエンティストの言葉。
その時ミーナの表情から笑いが消え、泣き顔になった。
「当然………です。誰が……私を作ったと………お思いですか?………それから………ミーナです」
言葉を切らしながら言うミーナにサイエンティストは笑いながら言った。
「そうだったな!」
それから
心配かけて済まなかったな。
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