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「博士、お茶が入りました」
お茶ののった盆を持ち、マッドサイエンティストの部屋へ女性が入ってきた。
「ありがとうナナ、そこに置いといてくれ」
マッドサイエンティストは礼を言いながらも作業に夢中。これはいつものことなので特に気にすることもなく女性はお茶を机に置きながら言った。
「製造番号ではなく、ミーナとお呼び下さい。それと根を詰めすぎるとお体に障ります。少しお休み下さい」
ミーナはアンドロイドである。一部の者にしか発表されていないが、世界初の完璧な人工知能を搭載したアンドロイドだ。
しかし科学者達は認めなかった。科学技術の粋を集めても完璧な人工知能は作れなかった。故にマッドサイエンティストの作ったアンドロイドも完璧ではないのだろうと。
今までアンドロイドはいくつも作られてきた。しかし人間の行動を真似するだけの不完全なアンドロイドしか作ることは出来なかった。マッドサイエンティストのアンドロイドもそうなのだろうと、人間の行動を真似しているだけなのだろうと、いつかボロが出るのだろうと、科学者達は自分達が作れなかった完璧な人工知能を認めようとはしなかった。
それに強く言い返すことなくマッドサイエンティストは次の発明品の作成にとりかかった。
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