5人が本棚に入れています
本棚に追加
何もないところから水を生み出す。この世の理(ことわり)を無視したマッドサイエンティストの発明品が完成する可能性はきわめて低いだろう。
しかし、それでもミーナはマッドサイエンティストを信じ、出来ないなどとは微塵も思っていない。
ただの機械だった自分に心を与えてくれた、母親のように優しく、父親のように暖かく、色々な知識を与えてくれた。
そんなマッドサイエンティストのことを、ミーナは心から思っていたから。
「それでは私は夕食の準備をしてきます。あまり無理をしないようにして下さいね」
これ以上何を言っても無駄だと判断したミーナは、それだけ言うと部屋を後にした。
「さて、今日は何を作りましょうか。博士の好物のオムライスは昨日作りましたし………献立を考えるのは難しいです」
ミーナは常にマッドサイエンティストのことを思って動く。栄養バランスを計算し、希望の料理をだすようにしている。
しかしマッドサイエンティストに何が食べたいか聞いても『何でもいい』としか答えないため、献立で悩むのはミーナの日課となっていた。
「そうです、今日は私が初めて覚えた料理にしましょう」
ミーナはそう言うと、さっそく料理にとりかかった。
その時、不意に鳴り響いた呼び鈴の音。
「誰でしょう?」
ミーナは呼び鈴が鳴ると共に、作業を中断して来訪者の確認へ向かった。
最初のコメントを投稿しよう!