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「ふん、汚らわしい。このような辺鄙(へんぴ)な土地に時代遅れの建造物。崇高な科学者の隅にも置けない。まさしくマッドサイエンティストだな」
家の前で顔をしかめながら愚痴をこぼす。彼は世界の統治者。
ミーナは資料でしか見たことのない世界の統治者に驚き、モニターを見つめながら言葉が出なかった。
「早くドアを開けたまえ。ん?まさか手動なのか?とっくに滅びたとおもっていたのだが」
世界の統治者は一人ぶつぶつと呟き、玄関の扉に興味を示していた。
「はっ、すぐに博士にお伝えしなければ」
ミーナは混乱しながらも、マッドサイエンティストの部屋へと走った。
「博士!大変です」
「何だい?今重要なところなんだ。後にしてもらえないか?」
マッドサイエンティストは作業を行う手を止めずに言った。
「世界の統治者がやってきました」
マッドサイエンティストの手が止まった。
「とうとう来たか」
マッドサイエンティストはそう呟くと、ミーナの横をすり抜け玄関へと向かった。
「君がマッドサイエンティストかね?」
待たされたことで少々の苛立ちを感じていた世界の統治者は、マッドサイエンティストが現れると同時に尋ねた。
「はい、そう呼ばれています」
マッドサイエンティストはそう言い、少しだけ世界の統治者を睨んだ。
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