一枚目の扉

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「おはよ、お兄ちゃ……ん」 未だぼやけて霞み掛かった視界にかろうじて映る彼につぶやく。 あぁ、相変わらず 今日も朝から爽やかだなぁ…… なんて、そんなこと思ってる場合じゃない。 目覚まし時計は…… あれ?ない!どこ!? 「もぅ8時10分前だぞ」 お兄ちゃんがそんな様子に見兼ねてため息混じりにいう。目覚まし時計はお兄ちゃんの手の中でぢりぢりと鈍い音を立てながら鳴っていた。 「ウソ!遅刻じゃん!」 勢いよくベッドから飛び降りる。鏡に寝癖だらけの私が映った。 うわ、何かむくんでる。 おまけに青白くて、何かやだ。 「か、顔洗ってくる!お兄ちゃん先に学校行ってて!」 「……雅、今日は土曜日だ」 「へ?……あ」 「しかも春休み。ひっかかったな」 土曜日。 そっか、危なかった。
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