夫の死

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ある雨のひどい日の夕方 幸子(『さちこ』ではなく『ゆきこ』)はいつものように一人夕飯の支度を始めていた。   昨日に続いて今日も雨。イヤになるなぁ〓 和哉さんは今日は早いって言ってたから急がなきゃ💦 急いで冷蔵庫をあさって夕飯を作り始めた。     ジリリリリン🎶ジリリリリン🎶  家の電話が鳴る。忙しいのに、今頃誰だろう。   幸子の家に電話が鳴る場合、大抵セールスの電話だ。 だからいつも留守電にしてある。 友達は皆ケータイにかけてくるし、皆忙しいこの時間はかけてこないはず。   無視無視🎵   ジリリリリン🎶ジリリリリン🎶 トントントン🎵   ジリリリリン🎶ジリリリリン🎶 トントントン🎵   まな板の音が電話のベルと共演してるみたい。 思わずクスッと笑ってしまう。 そのうち留守番電話に切り替わった。   『只今留守にしております。ご用の……』   言い終わらないうちに雑音と共に聞こえてくる声に幸子は耳を疑った。   『もしもし⁉もしもし⁉奥さん⁉ 私、丸中物流の大橋です! 中溝君が…あ、いや旦那さんが……交通事故で……今……… 末永総合病院に……プツッ💥…ツーツーツー』     …………え?
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