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「こうじさん!今日から俺出張なんであいつの世話お願いしましたよ!」
彼女の上司である孝弘が言う
うちの会社は従業員どおし下の名前で呼び合う、社長の俺も例外ではない
お互いの距離を縮めるためだ
情が深く責任感のある孝弘は、入ったばかりの部下を出張の間そばで見てやれない事がとても心配なのだろう
「うまいもんでも喰わしてやって下さいよ!」
笑いながら白い歯を輝かせる
「わかったよ。まぁあいつが頑張ってたらな」
そう返事をした俺は普段通りの口調で言えてたのか心配になった
急に来たチャンスに内心うかれちゃっていたからだ
「プレッシャーで潰さないで下さいよ」
今度は真剣な表情で孝弘は言った
うちの仕事はわりときつい
精神的にも肉体的にもタフで
頭の回転が良くないと結果が出せない
止めていく者が多いのもその理由だ
けれど、俺はこの仕事が好きだった
そして幸せな事に、うちの会社はこの仕事が好きな奴らの集まりだった
彼女はわりと見込みがあるとひいき目抜きでそう思っていた
いい結果がでたら金曜日の仕事あがりに彼女をレストランに連れて行くと約束した。
『じぁもー予約しておいて下さいね』
彼女はそう言って無邪気な笑顔を見せた
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