―第十三章 平和な日常―

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シグマとファーはまだ言い合っている。 ベルはまたパンを食べ始め、隣にいる少女は、僕の服を掴んだまま膝を抱えている。 アングは僕の足元でがつがつと肉を喰っている。 周りの建物はめちゃくちゃで、僕らは明らかにここに合わない。 この惨状に僕らのやりとりや雰囲気は不似合いだ。 つい笑みが零れる。 「あっ」 僕はこちらに飛んでくるものを見つけた。 それは赤い鳥。 そう、それはフロージア様からの手紙。 シグマとファーもそれに気付いたらしく、言い合っていたのを止めた。 赤い鳥はまっすぐ僕のほうに飛んできて、目の前で手紙へと姿を変えた。 僕は地面に落ちたその手紙を拾い上げ、封をとく。 その中にある手紙を取り出し、目を通した。 『任務が完了したことを確認しました。お疲れ様です。 では、フェイア・ウィルヘルム。貴方はファリスト・セルシオと同じ任務についてもらいます。 任務内容は下の通り。 ちゃんと目を通してくださいね。 Bランク任務。 北と西の地での不穏な集団についての調査。報告は最低で週1を義務とする。期間は1年。それ以上の時間は与えない。 任務終了の判断はこちらで判断するため、独断で帰還することは許さない。 それは任務放棄とみなし、処罰を与える。 ファーが先に行っていたから、期間はあと半年も無いですね。 頑張ってください。 それから、貴方を送り出す時に言ったように、それが終わり次第、2年間の修行を兼ねた旅についてもらいます。 それには報告の義務はありません。 好きなように過ごして下さい。 くれぐれも、死なないように。』 一枚目にはこう書いてあった。
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