308人が本棚に入れています
本棚に追加
シグマとファーはまだ言い合っている。
ベルはまたパンを食べ始め、隣にいる少女は、僕の服を掴んだまま膝を抱えている。
アングは僕の足元でがつがつと肉を喰っている。
周りの建物はめちゃくちゃで、僕らは明らかにここに合わない。
この惨状に僕らのやりとりや雰囲気は不似合いだ。
つい笑みが零れる。
「あっ」
僕はこちらに飛んでくるものを見つけた。
それは赤い鳥。
そう、それはフロージア様からの手紙。
シグマとファーもそれに気付いたらしく、言い合っていたのを止めた。
赤い鳥はまっすぐ僕のほうに飛んできて、目の前で手紙へと姿を変えた。
僕は地面に落ちたその手紙を拾い上げ、封をとく。
その中にある手紙を取り出し、目を通した。
『任務が完了したことを確認しました。お疲れ様です。
では、フェイア・ウィルヘルム。貴方はファリスト・セルシオと同じ任務についてもらいます。
任務内容は下の通り。
ちゃんと目を通してくださいね。
Bランク任務。
北と西の地での不穏な集団についての調査。報告は最低で週1を義務とする。期間は1年。それ以上の時間は与えない。
任務終了の判断はこちらで判断するため、独断で帰還することは許さない。
それは任務放棄とみなし、処罰を与える。
ファーが先に行っていたから、期間はあと半年も無いですね。
頑張ってください。
それから、貴方を送り出す時に言ったように、それが終わり次第、2年間の修行を兼ねた旅についてもらいます。
それには報告の義務はありません。
好きなように過ごして下さい。
くれぐれも、死なないように。』
一枚目にはこう書いてあった。
最初のコメントを投稿しよう!