―第十二章 家族と師弟―

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彼女は食いつくように僕の操る火を見つめる。 好奇心旺盛な子供のような目……とは言わないけど、それでも輝かせているように見える。 「火が好きなの?」 僕は彼女に聞く。 彼女は僕を見ずに、首を振る。 「見てて面白い?」 この問いかけにも彼女は首を振る。 面白くないなら、なんで見てるんだろう。 彼女は火から目を離さない。 「フェイア?」 突然ベルが声をかけてきた。 隣にいる彼女を見て、眉を寄せた。 「何してるの?」 「魔法を見せてるだけ。で、どうかした?」 僕は火を操る手を止めない。 彼女は一瞬ベルを見たが、すぐに火に視線を戻す。 「もう寝るから、フェイアもと思って。一座のみんなは休んだから」 「わかった、すぐ行くよ」 僕は火を消す。 少女は不満そうに僕を見る。 「また明日、見せるから。今日は君も休みなよ」 彼女は頷かない。 じっと僕の目を見る。 「先に行ってるから」 ベルはテントのほうへと向かっていった。 また、僕と彼女だけになる。 「ねぇ、今日は休もう? 僕も休みたいし……」 「……」 彼女は首を振る。 どうしたらいいんだ。 すぐ行くって言っちゃったしなぁ。 とりあえず僕はその場に立った。
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