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彼女は僕のズボンを掴む。
上目遣いに僕を見る。
微かに見えた目は潤んでいるように見えた。
僕は戸惑う。
悩んでいたら、彼女が小さくくしゃみをした。
彼女の姿をよく見たら、薄着だ。
布一枚の古びた服。
裾はほつれたり、やぶれたりしている。
このまま放っておくのは可哀想だ。
それに寒いだろう。
僕は自分の着ていたローブを脱ぎ。彼女にかける。
彼女は驚いた顔で見つめてくる。
「これ着てて。どっか村とかで新しい服買ってもらったらいいと思う。
今日はもう休んでさ、明日また魔法見せてあげるから。
だから我慢して。
なんなら、休めるスペースでも作ってあげるよ」
僕は地面に手のひらをつく。
そこから魔力を流して、手の少し先にかまくらのようなものを作った。
これなら休める……だろう。
「だめかな? 今日はもう寝よう?」
彼女はしばらくうつむいていたが、こくんと頷く。
それから小走りでかまくらの中へと入っていった。
僕はそれを見届けると、テントのほうへ向かう。
一度彼女のほうを振り向いたら、彼女が小さく丸まって横になっていた。
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