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「なんて返ってきました?」
朝、みんなで火を囲みながら朝食をとっている時にシグマが言った。
「まだ返ってきてないです。でもそろそろだと思いますが」
僕が答える。
「何が返ってくるって?」
「フロージア様からの返事。報告をしたから、この後どうすればいいか指示がくるんだ」
「ふーん」
ベルはパンにかじりつく。
僕の隣にいる彼女をチラチラ見ながら。
なぜかあの子は僕の隣を陣取っている。
ファーも今まで人には近づくことは無かったって言ってるから、不思議で仕方が無い。
話しかけても、反応があまり無いのは昨日通りだけどさ。
「そういえばフォート君」
「はい?」
「君の本当の名前はなんですか?」
僕とベル、そしてファーは頭に疑問符を浮かべていただろう。
「昨日はベルって呼ばれていましたから。本当の名はどちらですか?」
「え……」
ベルが戸惑いながら僕を睨む。
昨日の僕はベルと呼んでしまっていた。
「嫌なら言わなくてもいいんですが……この様子だとファーは知っているみたいですし、知らないのは私だけですよね」
シグマはわざとらしく肩を落とす。
「私はファーの師匠ですし、こうやって連れてきました。私だけ知らないのは寂しいですよねぇー」
大きく溜息をつく。
どうしても教えてくれとは言わないようだ。
遠まわしに教えろとは言ってるけど。
僕とベルは顔を見合わせる。
ベルはやれやれといったような仕草をすると、落ち込んでいるシグマに声をかけた。
「僕……いえ、私の名前はベルフォートです。普段はベルと呼ばれていますが、ある理由がありまして……シグマさんにはフォートと名乗らせていただきました」
「ある理由とは?」
「それは……」
ベルは悩んでいる。
自分が狙われていることを教えるべきなのか。
できるだけ人を巻き込みたくないと考えてるんだ。
巻き込まないようにするなら、教えないべきだけど……。
「教えちゃえよ。もう無関係ではないだろ?」
魔術騎士団に一緒にいるところを見られた。
ファーの師匠だとも分かったし、信用してもいい人だとは分かった。
それに、いつかは巻き込まれるだろう。
「そう……だね」
ベルは今までのことや、自分のことをシグマに話し出した。
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