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「いらっしゃいま……っ!?」
商品陳列をしていたまひろくんが僕を見て固まっている。
「か、か、か、河辺…さん!?」
「や、やあ…」
多少顔が引きつっている気もするけど、僕は気軽に話し掛けてみたつもりだ。
明らかなオタクファッションの僕ではまひろくんが迷惑するんじゃないかと思って、僕は真妃露の兄「神野真紗斗」のファッションを真似をしてみた。
真紗斗は真妃露を溺愛する爽やか青年。地味な僕とは真逆の人種だと思う。
ボサボサの髪を切って、黒縁メガネをコンタクトに変えて、チェックのシャツをワイシャツとジャケットに変えてみた。
まひろくんは…どう思ってくれるのかな?
「何日も来てくれないので心配していたんですよ!まさかこんな変身をしていたなんて…!」
まひろくんが僕の心配をしてくれただけでも萌死出来そうだ。
しばらく僕を観察した後、携帯を取り出して僕の写メを撮った。
「新しい河辺さんの記念に撮っちゃいましたー!」
まひろくんは少し顔を赤らめ、照れ笑いをしていた。
僕は消滅寸前の理性をなんとか繋ぎ止めたが、顔の緩みは止められなかった。
「今日の河辺さんもスゴくカッコいいですよ!!」
その一言を最後に、僕のコンビニでの記憶は無くなった。
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