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恋をして、好きという気持ちを持っているとわかってからは、まひろくんに会うのが何となく怖くなった。
コンビニには行かず、久々にアキバに行ってみた。
「河辺氏…真紗斗のコスをしているのか…?」
森山氏は怪訝そうな顔をしながらジロジロ見ている。
「最近、全く見かけないから何かあったのかとは思っていたが…」
僕はまひろくんの事を話した。
周りの仲間は色めき立ったが、森山氏だけは目を閉じて黙って聞いていた。
「あまりにも真妃露そっくりで…と言うより、真妃露そのものって言うか…」
「ふむ…真妃露一筋の河辺氏がそこまで言うとは…しかし3次元では、期待はしない事だ」
森山氏は深呼吸をすると、目を開いた。
「2次元ではどの子も思うがままだが、3次元には攻略法はない。上手くはいかない、嫌われる事もある、リセットも出来ない…」
いつになく森山氏が険しい顔をしているのには、僕も周りもただならぬ空気を感じていた。
「故に、我々は2次元を…」
「あ、河辺さーん!」
アイドルのような明るい声が森山氏の言葉をかき消す。
声のした方を見ると、そこにはまひろくんが立っていた。
「か、神野真妃露だぁ!!」
周りは驚き、森山氏は固まっている。
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