02 ずっと君のこと、考えてた

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「あの……河辺さん、ですよね?」 突然、あの子が話し掛けてきた。 な、なぜ僕の名前を!? 僕は恥ずかしくて、慌てて本を読むフリをした。あの子は申し訳なさそうな顔をしていた。 「すみません…この間お財布を置いていかれた時に、お名前を……」 「…………」 「それ、逆さまですよ?」 「!!!!!!」 あまりに動転して全く気付かなかった。 あの子はクスクスと笑っていた。 ああ……なんて可愛いんだ… 手に持っている真妃露の本が霞んで見えるほどだ… すると、あの子はまた僕に話し掛けてきた。 「それ、カンノマヒロですよね?」 「えっ……」 「僕の名前、ジンノって同じ漢字なんですよ。」 「へ、へぇー…」 「あと、僕の名前もマヒロって言うんですよー」 「えっ、ええええええ!!!???」 そんな…まさか、まさかぁぁ!! 「僕も驚きましたよー!この前陳列してて初めて知ったんです!僕は平仮名ですけどねー」 きっと森山氏ですら、この状況は萌え死なさるはずだ。 「それからずっと気になって…河辺さんの事も覚えちゃいました」 あの子…いや、まひろくんが僕の顔を見ながら笑顔を浮かべてくれる。 背中がゾクゾクする。風邪ではなく。
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