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何も無い
空虚な空間
器は満たされる事無く
ただただ口を拡げている
僕は僕が持つ宝物を
器に放り込む
ありったけの宝を……
器を満たそうと、宝物をどんなに放り込んでも
何故か器は空っぽ。
空っぽ。
空だった。
……僕の宝物。
……光り輝いていたはずのそれは、とうとう最後まで器を満たす事無く。
『ちょっと待って。僕の宝物は?返してよ。』
『宝なんて無いよ。キミは最初から何もこの器に入れてはいないじゃないか。』
『そんな!だって、僕の大切な物は……あれ?何だっけ?僕は……誰だっけ?』
大切な宝物を器に投げ捨てた子供は自分が誰かも解らなくなっていた。
子供が虚空の器に捨ててしまった宝物……
……経験と記憶。
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