+日常と告白+

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さっきの彼の思っていたことを思い出して、自然と顔がほころんだ。 ――心が読まれるのは良い気がしないし、読む方も得することばかりじゃないだろう。 本当によく気づく。それが素なんだから面白い。そんな人間になったのは果たして性格か、育ってきた環境か。 読心術を制御するのも楽じゃない。けれど、彼の前なら制御しなくてもいい。 それがどんなに心休まるか、彼は知らない。 どれだけ彼の存在に救われているか、彼は知らない。 ――――だからこそ。 「……ゴメン、俺のと那音のノートとってくれる人、いる?」 彼を傷つけたあの女が許せない。  
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